新編「日々の絶筆」(平凡社)
井上有一
井上有一「日々の絶筆」を読みました。ある人から頂いて読んだ本なのですが、とても読みごたえのある本で、読み終わったあとは絶句でした。
「この本を読むと、ちょっと悲しくなったり、きつく感じたりするかもしれない・・・」というメッセージを頂いてましたが、まさに、書家井上有一氏の圧倒的な「気迫」「気合い」「エネルギー」に、読んでいるオリハシが気圧される感じがしました。
鉄のハンマーでドッカン、ドッカンと殴られるようでした。格闘する気持ちで読まないと読み切れませんよ。。。”熱い”なんて言葉が生やさしく感じられます。
「メチャクチャ、デタラメに書け ぐわあっとブチまけろ お書家先生たちの顔へエナメルでもぶっかけてやれ 狭い日本の中にうろうろしている欺瞞とお体制をブッとばせ お金でおれを縛り上げてもおれはおれの仕事をするぞ グワーっとブッタ切ってやる 書もへったくれもあるものか 一切の断絶だ 創造という意識も絶する メチャクチャ、デタラメにやっつけろ」
というような詩を作品につけつつも、後から笑いながら「でたらめにやってますと、だんだんでたらめにできなくなっちゃうんですね」と語ってしまうあたり俯瞰的ですごいですよね。
「いつブッこわれるかわからないポンコツに、ガソリンをつぎ足しつぎ足し、ガタピシ走っているようなぼくは、正直いって一日一日がいうなら絶筆を書いているような気がしなくもない。」と語る生涯一教師、一書家の井上氏。
オリハシも、洋服を扱いつつ、SHOPをつくっていく一人の表現者の端くれとして、一日一日を生ききっていかねば・・・井上有一氏に「ビシバシ、ビシバシ」っと往復ビンタを食らったような読書体験でした。(笑)