モルタルボード
昨日のOobaさんと一緒に映ってる男の人と女の子がかぶってるのがモルタルボードと言います。これは大学の卒業式などの儀式の時に「ガウン」と共に用いる「角帽」です。モルタルボードは帽体が四角く平たい帽子で、天辺から「タッセル=飾り房」が一本垂れています。
本来は、モルタルボードとは「鏝板(こていた)」のことで、左官が壁などの仕上げ塗りや煉瓦積みなどの際に使用する底に取っ手の付いた小さな四角い板のことを言います。これに盛ったモルタル(セメント)を鏝にすくって作業をするんですね。
このモルタルボードにそっくりなことから「角帽」を指すことになったそうです。もちろん、これは俗称で、正しくは「カレッジキャップ=大学帽」と呼ばれます。
モルタルとは「セメントや石灰に砂を混ぜて水で練った接合剤」で、上塗りや目地などに用いられます。日本でいうと「漆喰」の意味になります。
モルタルボードが大学の式帽になった経緯ははっきりしないんです。似たものに近世初期の学者や僧が使用した「コーナーキャップ=角帽」があります。それが変形したのだろうと言われています。今でもモルタルボードを「コーナーキャップ」と呼ぶこともあります。
また、モルタルボードを「トレンチャーキャップ」とも言うんです。この場合のトレンチャーは「(四角い)平板」の意味です。
日本で「角帽」と言えば、かつての旧制高校や大学の四角い制帽で「目屁(めびさし)=ブリム」のあるものを指します。この角帽は明治時代に東京大学の一部の学生が発案したと言われています。四角であるのは当時4学部だったからだという説もありますが当てになりません。おそらくは西欧のモルタルボードを参考に、それに実用的な目屁を付け加えたのと思われます。
(参考文献:繊研新聞より)