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2004年2月11日(水) 旅の途中で・・・

昨年末に高倉健の「旅の途中で」という本を読んだ。(UK在住大場さんの勧め。)
これは、ニッポン放送のラジオで高倉健がパーソナリティを務めた「旅の途中で」という番組を編集した本です。
その中で、高倉健さん宛の一通の手紙が紹介されていまして、すごく感銘を受けました。
長野県上田市近郊に住む刀匠さんからの手紙です。
少し長くなりますが、(またかよ!)抜粋させてください。

これまで名してきた宮入恵を改め、刀銘、小左衛門行平を名乗ることといたしました。
行平は申すまでもなく、亡き父の晩年の銘でありますが、小左衛門とは幕末の江戸で水心子の門に学び、刀工として高い技量を持ちながら、維新という時代の嵐に流され、失意の中で郷里に戻った曾祖父の名前であります。前の名前には両親が残してくれた、そして私自身が刀工銘として育ててきた強い愛着がありました。
が、今日まで作刀を繰り返しながらずっと自問し続けていた、
自分にとって刀を作るとは何なのか?何故刀を作るのか?
という問いに、ある答えが見いだされた時、一つの転機を感じました。
私にとって刀を作ることは、祈りではないかと。
刀を作ることで関わる多くの方、家族、そして私の刀を受け入れてくれるこの世の、すべての幸せを祈り託することが、私にとっての刀作りではないかと。そのようなときに、この世に思いを残していった二人、曾祖父、父の名が口をついて出、ためらわずに合わせて名乗ることといたしました。いつも二人に見守られ、共に刀を作るという喜びが勇気になり、
それが今後一層精進するための糧となることと感じております。
以下は追伸です。
これで肩の荷が全部下りたように感じます。さらに自由にのびのびと、思っております。

オリハシの心に深く刺さった。いや、正直言って涙した。
今日は先代社長であるオリハシの父の命日である。
父は今なお、心に残る言葉を残している。
「人の5倍、がんばれ!」「人と同じ事をするな!」
そして、自分を奮い立たせるように「明日の活力の為に飲むんだ。がんばるぞっ。」といった調子だ。
だが、そんな父を見ていたからこそ、最初の手術前、病院の屋上で話した言葉が忘れられなかった。
「お前、店をやる気、あるのか?」
「ある」と応えたオリハシに対して、父は眉間にシワを寄せながら、
そして垢抜けない武蔵小杉の街を見下ろしながら、こう言い放った。
「この場所じゃ、駄目だ。。。」
この言葉が、この5年間、オリハシを呪うかのように苦しめた。
「そんなことないんだ!」という気迫を、ふっ、とした瞬間にこの言葉が奪ってゆく。
自由にのびのびというのは、ホントに真剣に、本気で取り組んだ者だけに訪れるのだ。
「普通でいいんだよ」とか、「自然に生きたいのさ」、「等身大の生き様が。。。」ってのは甘っちょろい!!
この5年間で痛切に味わった。
すべてはどれだけ本気か?ということだ。
いつも刃の上を歩いている真剣さを持ちつつ、
周りからは自然体に、等身大に生きているように見える。
そんな男になりたい。
何のために商売をするのか?何のために服を売るのか?
「祈り」だ。
そう、来年の今日、七回忌だ。

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VOICE of nakoolistお客様の声

ナクールに来て、買うまで、決めるまでのプロセスが楽しいです!自分で選ぶといつも同じような色やスタイルになってしまいます。これは自分では似合わないかな?と思ってもオリハシさんに勧められて着てみると意外にいいっ!という発見があります!私服で通勤出来る部署に異動になったので毎日、ナクールスタイルで充実しています!
川崎市中原区、30代、公務員、F様