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2004年3月8日(月) 酔っぱらいオヤジの処理方法

1月終わりぐらいだったろうか、接客中に、白髪を束ねたオヤジがフラッと入ってきた。
センスは悪い方ではないが、顔が赤らんでいる。。。昼間っから呑んでる様子。
案の定、「兄ちゃん、ちょっと。」と呼ばれて行くと、いきなり値段交渉である。5千円近く負けろと宣うのだ。
しかも、彼の吐息は、アルコール度メモリ80%強に振れる勢い!
「あほか!」と心では思いつつも、苦しい笑顔で「いやぁ~、これは出来ないですね~、僕も一杯、一杯でやってますから。。。」
とオリハシ。
「そんなの分かってる。」とぼやきつつ、「3月にはそれぐらいの値段になるだろう。」と
オリハシに尋ねてるのか?それとも自分自身に言い聞かせてるのか?分からない口調で出ていった。
そして、2月に一度、フラッと入ってきてプライスを確認し、首を傾げながらその赤ら顔は出ていった。
尚も、オリハシがいない日に、Natsukoさんに値引き交渉をしたらしい。その言いぐさがいい。
小指を立てつつ「俺もこっちにお金が掛かっちゃうからさぁ~」と嘯いたそうだ。
3月に入った。なんとなくそのオヤジがまた来そうな気がした。
色違いでMだけの2枚になっているそのモノをオリハシはためらわず、店頭から隠した。3/1のことだ。
次の日、案の定、オヤジがやってきた。こういう時のオリハシはアタマは良くないが、身体感受性はすこぶる、いい。
相変わらず、赤ら顔のオヤジはビックリしたように、「え?売れちゃったの?」と酒臭い息を吐く。
「くそ~、負けたか~、今日は覚悟を決めてきたのに。」とオヤジ、
オリハシはさも残念そうな顔を作りながら、そのオヤジの背中を見送る。
「あなたに売る服はありません。」無言の会話なのだ。
確かにお客様は神様であるが、入ってくる人がすべて神様であるとは限らない。
大体にして、その服がホントに欲しければ、既に買っているはずだ。
「お前、ずっと振られっぱなしでかわそうだなぁ。お前の良さは俺が分かってるから俺が付き合ってやるよ。」
と言うのを酒を飲んだ状態で女性に言うのと同じである。
酒を飲まなければ口説けない男を信用してはならない!
(と、母から教え込まれている女性は意外に多いんですよ♪←もちろんリサーチ済み)
女は、「やっぱり分かってくれるのはあなただけよ。もうすてき、サービスしちゃうわ」とでも思っているのだろうか?
ほんと、もてない男の戯れ言だ。
甘く見て貰っては困る!一人一人大切に嫁に送り出したいものだ。
その服に対して、熱意と誠意を持って、買って着てくれているお客様に失礼だ。とオリハシは考える。
そういうオヤジはそのモノが欲しいのではない。
値切って買うという行為そのものの優越感を味わいたいだけなのだ。
短期的に見て値引きしてでも入る現金は確かに魅力だ。だが長期的に見れば大きなリスクを伴う。
だが、しか~し!!
オリハシとしては、ここでも、やっぱり自分に疑いをかけてみたい。
商売人としては、ヘタクソなのかもしれない。ということだ。
(だって、ホントに値引きなしで買いに来たのかもしれないから。)
可能性は自分が思いつく事だけが全てではない。
自分の正しさを雄弁に主張する知性よりも、自分の愚かさを吟味できる知性の方がオリハシは好きだ。
そういう人に無性に惹かれる。自分が「えいやっ!これだ!」と言い切ってしまう人だからかもしれない。
だから、やっぱり「とほほ」と考えるのだ。
一年に2回くらいは来るかなぁ~似たような、そういう酔ったオヤジ。。。
まあ、「酔って口説こうという」おやじ達よ。いつでもかかってきなさい!!
その度に、成長させて頂きます。

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新丸子の写真館「写真道場」さんとのコラボレーション企画、CRS活動としての洋服ポスト・・・etc

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大学入学と共に武蔵小杉に住むようになり、街をぶらぶら散策していた時たまたまナクールを見つけたのが最初です。家に帰ってネットで検索してみたらホームページがしっかりあって、商品の紹介や、店長のブログがあり「ここはイイぞ!」と思った記憶があります。
川崎市中原区、20代、会社員、O様