随分、昔の話になる。
親父がどこそこかのパ-ティ-だか、宴会だかに
出かける前、首もとにスカ-フのようなものを巻き、
同色のポケットチ-フをしていた。
とてもショッキングだったのを今でも覚えている。
何て言うのかも知らなかった。
「アスコット・タイって言うんだ。」
そう誇らしげに言う姿も脳裏に焼き付いている。
もちろん、今から考えれば、アスコットモ-ニングのような
きっちりした礼装ではなく、ダ-クス-ツや時にはブレザ-、
ツイ-ドのジャケットなどに合わせていたわけで、
トラディショナルな、いわゆる「アスコットな楽礼装」だったのです。
まだ10代後半の学生だったオリハシ。
とてもとても、そのアスコットタイに憧れました。
「20年は早いな!」
と一笑されたことは言うまでもありません。
確かに今から考えれば、そりゃそうだの世界。
でも、そのときの何とも言えない「楽礼装」っぷりがかっこよく見えたんです。
カジュアル屋さんがお洒落するとこうなるんだぜ!
という父の意志のようなモノをひしひしと感じました。
よし、俺もいつかアスコットタイを。。。
という思いを密かに持ち続けて15年。
一昨日、生まれて初めてしました。
鏡の前に立ったときの感慨深さといったら。。。(ちょっと大げさかな?)
千鳥格子というトラッドベ-スを残しつつ、
光沢感とシャ-プなカッティングのシャツに合わせる。
一応、自分なりの。。。あくまで自分なりの。。。
アドバンスト・トラディショナルなのです。
よく
「昔のナク-ルのイメ-ジは完全に無くなりつつあるなぁ。」
と言われます。
が、しかし、
オリハシの中にベ-スは常にあります。
過渡的で一時的で常に服は変化します。
でも根底には流れるモノといつも折り合いをつけながらリミックス
されているのです。
ベ-スに厚みを持たせる。
そんなことを考えた日曜日でした。