言わずと知れたシェイクスピア劇。「ヴェニスの商人」。
結構好きなんです。
回りくどい言いまわし、これでもか!の形容詞。
こってり具合がね、好きです。
昨日、見に行ってきました。
ユダヤ人の高利貸し、シャイロックを名優アル・パチ-ノが熱演ですね。
悲哀、滑稽、怒り、狂気。。。すべてをさらけ出した感じです。
有名な「人肉裁判」のシ-ンもアル・パチ-ノの迫力はすさまじいですよ。
また、「恋におちたシェイクスピア」で若きシェイクスピアを演じたジョセフ・ファインズがパッサ-ニオ役っていうのも惹かれました。
好きなシ-ンはパッサ-ニオによるポ-シャへの求婚シ-ン。
有名な「三つの小箱」選びです。
「金。銀。鉛。」各小箱の中に、一つだけ、「ポ-シャの絵姿」が入っている。
その一つを選んだものがポ-シャを解放する男であるというシ-ン。
モロッコ大公、アラゴン大公はともに金、銀を選んで失敗します。
もちろんパッサ-ニオは「鉛」を選び、見事その中に「ポ-シャの絵姿」が入っているわけです。
これは単に見せかけに騙されないとか、中身を重視するとか、そういった意味合いだけじゃなく、
かなり深読みが出来るのです。
「ヴェニスの商人の資本論」(岩井克人著)の中では、貨幣、交換、といった表現によっておもしろい考察が展開されています。
「小箱の謎とは、貨幣が貨幣であるのは、ほかのすべての商品が全面的に自分の価値を貨幣によって表すからにすぎないのだ。」
つまり単なる入れ物にすぎない小箱の価値とポ-シャ自身の価値を混同し金の小箱を選んで失敗した大公。小箱の価値と自分自身の価値を同一化し、銀を選び失敗した大公。
単なる価値の入れ物にすぎない小箱そのものに価値を見いだしてしまった。
貨幣が貨幣であるからほかのすべての商品が貨幣によってその価値を表しているのだ。
と考えたところに落とし穴が待ってるわけです。
この映画を見た後に、この「ヴェニスの商人の資本論」を読むと
2度、楽しめますよ。オススメです。