鞣し。
「皮」から「革」になる行程のことです。
大別して2種類の鞣し方があります。
一つは「タンニン(ベジタン)なめし」植物などから抽出したタンニン(渋)でなめす製法です。南アフリカ、南米の植物、欧州のチェストナット(木)から抽出された渋などが有名です。表も裏もタン色(茶褐色)に染まり、しっかりとした皮革素材になります。
もう一つは「クロームなめし」クローム(金属)の液を用いたなめし製法です。近代になってから開発された手法で、柔らかい皮革素材に仕上がります。 低コスト、短期間で施工できるメリットで普及してきましたが、廃液処理の問題もあり、最近は環境に優しいタンニンなめしに注目が集まっています。 ってことでその環境に優しいベジタンなめしのレザージャケットは→こちら1.2.
リンク先のアイテムは上野商会のオリジナル企画のラムレザージャケットです。昔からAVIREXやSchottの代理店だし、ライセンスで革も作ってるので高クオリティのレザーものが「えっ?こんなに安いの?」ってアイテムが同社にはあるわけです。ベジタンの鞣しのわりに軽く、独特の光沢感とクタクタっとした仕上がりも上出来です。(いや、その軽さとクタ感がダメ。と思う革好きなかたもいらっしゃるでしょうが。。。おゆるしを)
廃液処理の問題で、最近では環境に優しいタンニンなめしが注目されています。自然から抽出した渋でなめすわけですから、土に帰るようにそのレザージャケットは燃やせるわけですね。
なるほど。
でも、ま、なんにしろ羊さんには成仏してもらうわけですが。。。
仕方ないですね。特に秋冬モノは獣毛系が大活躍します。
ダウンだってガチョウ。そのフードについたファーだって。。。フェイクファーよりリアルファーが高価にもかかわらず人気なわけです。
ラビット、フォックス、アライグマ、たぬきさん。
なかでも羊さんは革からその毛まで大活躍します。
昔、村上春樹の「羊をめぐる冒険」を読んだとき、本当に羊男が現れたシーンがありまして。。。(笑)その着ぐるみの羊男が「ファッション業界」へのアンチテーゼではないのか?と深読みしたぐらいです。
実際、「ねじまき鳥クロニクル」では主人公の「僕」に服飾を買い与えるナツメグの会話ではこんなシーンがあります。
彼女はいった、「私はただ単に、人々が間違った恰好をしているのを見るのが好きじゃないの。どうしてもどうしても我慢ができないの。少なくとも私の近くにいる人には、できるだけまともな服を身につけてもらいたいの。正しい恰好をしてもらいたいの。それがたとえ目に見えるところであれ、見えないところであれ」
「じゃあ僕の十二指腸のことは気になりませんか?」と僕は訊いてみた。
「あなたの十二指腸の恰好に何か問題があるの?」、彼女は真剣な目つきで僕をじっと見て言った。僕は冗談を言ったことを後悔した。
オリハシには主人公「僕」のキモチが何となく理解できます。「結局、外見ですか。。。」と。
「革のなめし」から話がとんでもない方へいっちゃいました。
僕たちにできること。それはその一着を愛情持って着ることに尽きる。と思います。特に革製品やニットは間違わなければそーとー息の長いアイテム達です。こういうコト言うと儲かりませんよ。とか言われそうですが。。。大丈夫、オリハシはスタイルを売ってるんです。
あっ、そー言えば、「ねじまき鳥~」にはこんなシーンもあります。
いつも同じ、ボロボロの服を纏った牛河。彼の服に対する主人公「僕」の見解。すばらしいメタファーです。
どれも薄汚れていて、しわだらけで、体に合っていなかった。それらのおとしめられた洋服は世界中の疲弊と重荷を不当に引き受けさせられているみたいに見えた。
たとえ何かに生まれ変わることがあっても、そしてその次の生の類い希な栄光が保証されているとしても、そういう服だけにはなりたくないと僕は思った。
今日のカテゴリーは「ファッション・スタイリング」で書き始めたのですが、変更しなきゃいけませんね。「本」に。
「ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編」(著:村上春樹)
言わずと知れた名作。
1部、2部、3部の大長編っす。