随分昔の話。
前の会社にいたころ、ある先輩と話していたことがある。
その先輩はぐったりと、非常に疲れ切った表情でオリハシに出張の話を聞かせてくれた。上司と共にお得意先を回り、夜、食事をしながらの話だったそうで。。。
アルコールのほうもほどよい具合で廻ってきた頃合い。
「商品の梱包を開けたときに、その服が売れるかどうかはすぐに判断がつく」というようなことをその得意先の社長はおっしゃったようで。。。
つまり、その梱包のされ方からか、あるいはその服そのものから発散される見えないけれども他商品とは趣が異なる何かがあって、それを認知することができる。というのだ。
それを「温度」という言葉で表現したらしい。
その梱包を開けた瞬間にその服の持つ「温度」を感じ、売り手の「温度」も必然的に上昇する。と。しかも2℃(ずいぶん具体的だ。)
しかも、その上司さんも「そーですよね!」ばりに同調していたらしい。
というのだ。
(正確には覚えていないが、大まかこんな話だったと記憶している。)
「おい、オリ、温度だぜ、温度。。。どうするよ。」と長期出張で憔悴しきった先輩の表情が忘れられない。
そのときのオリハシ自身も思った。なんて非論理的な話なんだろか。。。と(ま、アルコールが入っていたにせよ。)先輩もそー思っていたに違いない。つまるところ、営業は「売れているのは、(売れたのは)何故か?」という理屈を企画にフィードバックし、企画の意図と照合させなければならない。そこから要素を還元し次の企画に活かしてもらう。と。
そんなときに「温度」が違うんです。とか言ったら呆れられるのがオチだ。
ところが、だ。
店頭に立ち続けて9年になるオリハシは、忘れていたこの時の話を思い出さずにはいられない経験を何度もしている。
さすがに「温度が2℃上昇する。」までは言わないが、しかしニュアンスとしてはかなり近い。
梱包を開けた瞬間に「おおおっ!なんて素晴らしい出来なんだ!」と思わずアドレナリンが分泌するようなときが、ある。
もちろん、発注の段階で写真も撮ってくるから忘れていたわけではない。むしろすべてを管理している。
それでも興奮するときは興奮せずにはいられないのだ。
どーしてだかよくわからない。別に何か特別なものが見えるわけじゃない。
先日もそんな服が入荷してきた。
昨日、やってきたYインターナショナルの営業N氏も、その服を見て唸っていた。。。そしてこーつぶやいた。
「企画、楽しそうだなぁ~、『次はこうしてやろう。』とか伝ってきますよね。」と。
なるほど。
それは核心の一つかもしれない。
楽しんで作ったものは人を動かす。と。
確かにマーケティングされ尽くした服もつまらないし、
かといって狙ったように力んでるのも苦しい。
そーいう意味ではトレンド性もあるし、ほどよいバランスなのかもしれない。レザーにしてはほどよい値頃感。。。
リトルツイストは楽しんだものしか生み出せないかもね。