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2007年11月27日(火) 村上春樹にご用心

今年、第6回小林秀雄賞をとった内田樹氏の「村上春樹論」。
MniGoyoujin.jpg村上春樹にご用心」著:内田樹
ほとんどが、著者のブログからの焼き直し記事なのですが一ファンとしては購入してしまうんですね。オリハシにとってはあぁ、この話、知ってる。というモノばかりです。にもかかわらず購入せずにはいられない。。。ファンとはそーいうものなんですね。(笑)
なるほど、こーいう切り口での編集があるか。というとこもあるしね。
で、これは、前から一度、書かなくては!
と思っていたことを今日は書いてみます。
この本の「はじめに」からの引用です。

私見によれば、村上文学が世界各国に読者を獲得しているのは、それが国境を越えて、すべての人間の心の琴線に触れる「根源的な物語」を語っているからである。他に理由はあるまい。
 村上文学は一つの「宇宙論」だと私は思っている。「猫の手を万力で潰すような邪悪なもの」(『1973年のピンボール』)に愛する人たちが損なわれないように、「境界線」に立ちつくしている「センチネル(歩哨)」の誰にも評価されない、ささやかな努力。それを描くのが村上文学の重要なモティーフの一つである。
 「センチネル」たちの仕事は『ダンス・ダンス・ダンス』で「文化的雪かき」と呼ばれた仕事に似ている。誰もやりたがらないけれど誰かがやらないとあとで他の人たちが困るような仕事を、特別な対価や賞賛を期待せず、黙って引き受けること。そのような「雪かき仕事」を黙々と積み重ねているものの日常的な努力によって、「超越的に邪悪なもの」の浸潤はかろうじて食い止められる。政治的激情や詩的法悦やエロス的恍惚は「邪悪なもの」の対立項ではなく、しばしばその共犯者である。この宇宙的スケールの神話と日常生活のディテールをシームレスに接合させた力業に村上文学の最大の魅力はある。

「境界線」に立ちつくしている「センチネル(歩哨)」っていうところね。。。あぁ、わかるなって思うんですよ。
ジェイズバーのジェイだね。
内田氏の言葉でいうと「ハーバーライトを守る人」なんだな。
つい先日もこんなことがあった。
ここ、前からあるナクールですよね?
確認するように入ってくるお客様。
15年ぶりくらいに武蔵小杉に来ました。
ええっ、以前住んでたんですよ。あそこのライオンズマンションに。三階でした。
すごい変わりましたねぇ。。。武蔵小杉も。
おやじさんにお世話になったんですよ。(おやじさんとはオリハシの父にことである。)ボク、当時、堀越で野球やってまして。。。
(なるほど、おやじは野球贔屓だったからな。。。)
オリハシはオヤジが病気で亡くなったこととと、それで自分が継いだことを説明する。そして、自分が継いでからすでに9年が経過していることも。。。(もうこの説明は何百回と繰り返している。)
えっ?じゃぁ、横浜で野球やってた!
あっ、それはね、弟です。弟くん。
あぁ、そーですかぁ。。。(ちょっと残念そうな彼。)
リーバイスのね、カップを貰ったんですよ。おやじさんに。。。まだ持ってます。。。。
そんな出来事である。
同じような話はこの9年間に何度もある。
父はきっと洋服を売りながら、お客さんたちにとって帰りたいときに帰ることの出来る場所を指し示す「ハーバーライト」の役割を静かに引き受けていたのではないだろうか?
数年前から、そんなふうに思うようになった。
父がよく言っていた「波打ち際で戦う」って言葉と「境界線」「センチネル(歩哨)」というそれが妙にシンクロしてくる。
自分もそんな役割を静かにそっと引き受けたい。
厳しい現実から一時でも逃れたいとき。
グチでも誰かにこぼさなきゃやっていけないとき。。。
そんなときに、「おおっ、オレはいつもここにいるよ。」
そんなハーバーライトを放ち続けていたい。
別段、何もしてあげることは出来ない。ただ聴くことしかできないかもしれない。
それでも一時でも逃れらた。と思って貰うことができれば。。。
そう思って今、商売をしている。
目指せアジール的ショップなのだ。
逃れの店だな。
笑ってやってください。
え?
その15年ぶりのお客様は何か購入して帰ったのかって?
当然ですよ。仕事です。
売りました。
バッグギャザード・ニットキャップ、¥2940-税込なり。
毎度、ありがとうございます。
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