17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義
著:松岡 正剛
帝塚山学院大学での講義をもとにした本。
帯も惹かれます。
「足し算の文明 引き算の文化」
いろいろと刺激を受ける箇所はたくさんあるけれど、今回はオリハシがディスプレイやレイアウトを考える際に重要視する考え方の元みたいなことを話してみたいと思います。
ちょっと長い引用ですけど。
枯山水は、実際には岩や砂があるだけなのに、そこに水の流れや大きな世界を感じていこうというものですね。こういう見方を禅の言葉で「止観」と言います。
止めて、見る。これはすごい方法で、西洋では十九世紀にヘーゲルやマルクスが出てきて、社会哲学的な方法として「止観」を持ち出すんですが、日本ではうんと早く十三世紀ごろに世界を止めて見るということが始まった(中国ではもっと前です)。止めて見ると、逆にそのなかにいろいろなものがずっと見えてくる。写真がそうですね。シャッターで止めて見る。そうすると、そこに人生や世界が見えてくる。禅もそうやって真理というものをつかんで、悟りを開いていくわけですね。
しかも枯山水は水を感じたいがゆえに、あえて水をなくしてしまっている。つまりそこには「引き算」という方法が生きているんです。それが新しい美を生んだ。
「おっ、これってまさにディスプレイ!」って思うわけです。
大型店、店舗面積が広いSHOPのヴィジュアル・マーチャン・ダイジング(VMD)は、トータルのトレンドやキーポイントとなるテーマカラーなどイメージ喚起への強みはあるけれど、どーしても「単品そのものへの訴求力」に欠ける。
一点一点見たら急に買いたくなくなった。とか、
圧倒的な量で気持ち悪くなった。とか。ないですか?
Nakoolのような小さなお店では、品揃えのヴォリュームで見せるのではなく、一つ一つを短期間で丁寧に見せていく必要があるわけです。
その時に思うのはこの引き算の考え方を意識するようにしています。
「こいつの魅力」を引き出すためにどのような位置で、どのようなライティングで。。。ということです。
そのためには、あえて色違いやサイズ違いはストックに締まったりします。
もちろん、そーいう見せ方してるショップもあるのでオリハシは「ふむふむ」と見て回って勉強してるんですけどね。
小さいからこそ出来ること。狭いからこそ出来ること。
さらにその日本人が潜在的に持つDNAに刻み込まれてたものにどーにか訴求することは出来ないものか?と考えています。
うん、もちろん、一筋縄ではいかないことが多いですけどね。
試行錯誤の連続です。
明日(15日)、「脳と日本人」という松岡 正剛 と 茂木 健一郎 の共著の本がでます。茂木氏は 脳科学者として今、有名ですね。
この本も楽しみな一冊です。