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2009年2月9日(月) シドニー!~またまた偶然な話

偶然話第2弾です。
2000年。
このころはTVを見てました。
何を今更シドニーオリンピックって。
と思うかもしれませんが、ちょっとだけ。。。何を隠そう今年読んだんです。これ。(笑)物好きもはなはだしいですね。
Sydney.jpg
シドニー!①コアラ純情編 ②ワラビー熱血編 著:村上春樹」
これね、村上春樹のシドニーオリンピック取材日誌です。
我ら夫婦としては、未読の春樹文章を求めてこの文庫にたどり着いたんですよ。(ウチのA妻は「うずまき猫の見つけ方」を6回以上読んでます。笑)
やはり、と言うか、当然、トライアスロンとマラソンの文章は本当に読ませるモノがあります。そーかぁ。シドニーのマラソンコースってそんなあり得ないくらい厳しいコースだったんだ。知らなかった。。。とか。
で、このとき雑誌「ナンバー」の編集部ヤくん(仮名)が村上春樹さんと同行していたんですね。
実際に「ヤくん」という仮名で何回も登場します。
春樹さんのために開会式のチケットとるために並んだり、
一緒に日本料理食べにいったり、ワイン飲んだり、牡蠣食べたり、ビール飲んだり、牡蠣食べたり、ワイン飲んだり、牡蠣食べたり、ビール飲んだり。。。たまにヤくんがアイスクリーム食べたり。。。
で、圧巻はサッカーのブラジル戦を取材するためにシドニーからブリスベンという街までおよそ千キロの長距離ドライブ。
千キロというと、およそ東京から門司の距離と書いてあります。すごいですよね。この距離をきっちり2時間で代わる代わる運転して行ったそうです。
競技のレポートもおもしろかったのですが、合間、合間にこういった旅行記のような日誌があって、それはそれで単なるオリンピック取材日誌ではなく、いかにも村上春樹らしい旅行記のようなたたずまいがあっておもしろかったんです。
で、話は先月、1月の最終金曜日。
オリハシ夫婦は例によって、山屋さんの「ワインテイスティングマラソン」に参加すべく自由が丘に向かったわけです。
そこでね、今年から新たに一人参加する男性を紹介されたんです。
「Y橋です。よろしくお願いします。」
物腰が柔らかく、一目で「あ、いい人そうだな。」っていう雰囲気が出てて。うん、同い年くらいかな。いかにもワイン好きそうっていう印象。
「あっ、どーも、オリハシです。で、ウチの奥さん、」
「Aです。よろしくお願いします。」
という極々当たり前でありふれた挨拶を交わしました。
最初はね、おお、お互い珍しげな名字で「橋」つながりだなぁって思っただけなんですよ。
やっぱり流れとして「お仕事は。。。」っていう話になるじゃないですか。
なんとフリーでライターをしている。と言う。
わぉ、すごいな。
初めてライターという職業の人に出会ったかも?!
「以前は『ナンバー』っていう雑誌の編集部にいたんですよ。」とくる。
そこでオリハシ夫婦は顔を見合わせる。
「そーいえばさ、こないだ読んだ村上春樹の本で『ナンバー』の人出てきたね~」と奥さんにふる。
「あっ、以前、春樹さんとも一緒に仕事しましたよ。」
Y橋さんは思いもがけないことを言う。
えっ!?ってことはさ。。。硬直するオリハシを尻目にA妻は声をあげる。
「え~っ!?もしかして、『ヤくん』!!!!ですか!!!???」
Y橋さんも驚いた様子で、しかし、柔和な笑みのまま言った。
「はい、『ヤくん』はボクです。」と。
まるで、村上春樹が目の前に現れたかのような興奮で大喜びするオリハシ夫婦。(笑)
たぶん、こう思っただろう。
なんでまた2009年の今に2000年の「シドニー!」を読んでるなんて。。。この夫婦一体。。。!?と。
2009年の1月という時期、今、このタイミングで読んでなかったらその話にならなかったかも。
そう思うと不思議ですよね~
その日はちょっと興奮して飲み過ぎましたよ。
ウチの奥さんなんて思いあまって、次の日、発熱しちゃいましたからね。(笑)
「シドニー!」の裏話を拝聴する。
半日以上かけて運転してブリスベンに到着して、春樹さんとレストランに入って夕食をとる。春樹さんは生牡蠣と野菜料理。ヤくんはアスパラガスのリゾットをオーダーしたんです。
その日誌の描写です。
 

このレストランでは「アスパラガス・フェア」をやっていたので、ヤくんはアスパラガスのリゾットを食べる。おいしそうだね。おいしいですよ。でも「ちょっとくれよ」とは言えないので、どんな味なのかわからない。(コアラ純情編188頁~189頁)

 
ヤくんはこの箇所を上司に指摘され、
「おまえは編集者として失格だ。」と言われてしまったそうです。う~ん、かわいそう。
でも、読者としては「クスっ」と笑えるところでしたよ。
また、シドニーでは選考から外れた女子マラソンの有森裕子選手と男子マラソンで途中リタイアした犬伏孝行選手。この両選手のストーリーで始まって終わっている構成。
それも含めて「シドニー!」という物語にしている。光りの当たらないところにも光りを当てる。それらも包括されてのシドニー。
なんか村上春樹らしい試みだな。なんて感じてしまうのであります。
そう、あとがきに書いてありました。
「数々のアレンジメントをしてくれた、『ナンバー』編集部にも感謝したい。とくに若き編集者Y橋くんには現地でずいぶんお世話になった。」と。
やっぱ、本物のヤくんだ。(笑)

 ピエール・ド・クーベルタン男爵は「オリンピックは勝つことにではなく、参加することに意義がある」と言った(といわれている)。有名なせりふだが、これは今となってはかなり非現実的に響く。「そういうのって、まあきれいごとだよね」で終わっていまいそうだ。でも男爵は本当にそんなことを言ったのだろうか?
 僕が読んだ本によれば、彼は実際にはこう言ったそうだ。
「人生において大事なことは、勝利ではなく、競うことである。人生に必須なのは、勝つことではなく、悔いなく戦うことだ」
 これなら話はわかる。そう思いませんか?(ワラビー熱血編145頁)

僕らには一人一人の戦いがあるんですね、僕たちはみんなそれぞれの場所で、それぞれにがんばって戦ってる。
皆さん、がんばってこー!

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大学入学と共に武蔵小杉に住むようになり、街をぶらぶら散策していた時たまたまナクールを見つけたのが最初です。家に帰ってネットで検索してみたらホームページがしっかりあって、商品の紹介や、店長のブログがあり「ここはイイぞ!」と思った記憶があります。
川崎市中原区、20代、会社員、O様