じゃぁ、大人のカジュアルって何さって言われたら、そ、それは・・・もごもご。
と歯切れの悪いことになりかねないわけ。
20歳になったら「さぁ、どうぞ着てください。」ってわけでもないしね。
だいたい40代の自分がこんなんでいいのか?!って思うわけ。
このオリハシ日記を公開しだして12年経つんだけど、これ読んで来てくれる人がほとんどなんだよね。そうするとさ、自分がどんな人から好意的に思われるのがよく分かってくるわけ。
すごくよく分かる。
これは本当のことなんだけど、オリハシがこいつ嫌だなって思うお客さんって来ないんだよ、ナクールって。
ブログやる前は、お店の形態も違ったし、いろいろと・・・人生の先輩から勉強させられましたよ。高校生のガキんちょに狙われて万引きされたこともあったしね。
今はねーそういうことないんですよ。すごいよ、商売やっててこんな幸せなことないよね。ブログ読んできてるからね、読んで実際にナクールに行ってみるぞ!っていうぐらいだから、オリハシが好きだなって思う人に出会ってるわけ。しかも全国だから。動画もあるし(笑)
でね。ナクールで出会う人みんな、年齢に関係なく大人の優しさみたいなものを持ってる人が多いのよ。
フィリップ・マーロウは「タフでなければ生きてはいけない、優しくなければ生きてる資格がない」と言ったけど、ある程度の年齢になると、「タフでなければ優しくなれない」んだよね。少なくともオリハシはそう思う。
やっぱりさ、自分も「洗練された大人のカジュアルを提案します!」ってやってる以上、大人とはなんぞや?!と言うことをね、常に意識するようにしてるんだよね。
「村上さんのところ」(新潮社)で村上春樹は大学生からの質問で「大人の定義」に答えているんだけど、これがなかなか良かったんですよ。
二十歳になったからって急に大人になれるわけじゃありません。また経済的に自立できたとしても、それで大人になれるわけでもありません。僕は個人的には、自分の心の痛みと、まわりの人々の心の痛みとを、等価とまではいかずとも、ある程度密接に連動させて考えられるようになることが大人の証ではないかと考えています。そういう意味では、いくつになっても未成熟な人はたくさんいます。
これはまさにジェントルについて言っているのではあるまいか?と。
オリハシもまだまだ未熟なところばかりだけど、ナクールで出会うみんなに恥ずかしくない男として、「こんな男から服なんて買いたくない」って思われないように、精進していきますよ。
そして、ボクの提案する服、ファンションが、今日も自分の持ち場でタフに生きてるみんなに力を与えられますように。